イラストSS

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　今日はシャイネン・ナハト。輝かんばかりの夜に、再現性東京の街路樹は一際眩いライトアップを施され、行き交う人々の気もそぞろだ。
　週末を迎え、日常から非日常へと人々が歩き出すその中で、『彼』はこちらを見て、穏やかな笑みを浮かべて歩いてくる。その両手にはコーヒーカップが握られている。
　……気にしなくてよかったのに。そういうところに目端が届くから、人気があるのだろう。
「おまたせ。はい、これ……待った？」
　彼、ことヴェルグリーズ(p3p008566)から渡されたカップをそっと受け取れば、「ちっとも」と返すほかはない。
　いま来たところ、とか気にしないで、とか、気取った言葉が出てこない。輝かんばかりなのは夜ではなくむしろ……。
「俺の顔に、何かついてたかい？」
「ううん、なんにも」
　そう言って歩き出した彼の手を握ろうとして、掴めなくて。でも、振り返った彼は『待っている』気がしたから・
　……握った指先の温かさ、手袋の指ざわりを忘れないだろう。
　――衣料品メーカーの高機能手袋プロモーションより


　※SS担当者：ふみの