イラストSS

「え、と……これ、にあってる、のかな」
　小さく、か細く絞り出された言葉に、アルヴァは微笑んで答えを返した。
　ウェディングドレスとタキシードをまとった二人は、どこからどうみても新郎新婦だった。
　シャイネンナハトで立ち寄った、ステキなお店の前。いつものようにショッピングをしていたとき……それでも、時期がトクベツに胸を弾ませるような、そんなささやかな幸せのさなか。
　レッドが、ショーウィンドウ越しのウエディングドレスの前で、はたと足を止めたのだ。
「着てみるか？」
　寄っていくかどうかためらって、ためらったけれど、足は応援するように動かなくて。そして、アルヴァが扉を開けた。
　純白のドレス。純白の靴。いつも束ねられているレッドの髪は、ふわりと後ろに流れている。レッド・ミハリル・アストルフォーン。今日のレッドの真っ赤なところは、瞳の色と赤色の髪……。それから、頬。
「うん、似合ってるな」
　鏡なんてなくとも。慈しむようなアルヴァの表情を見れば分かる。くるりと抱き上げて、腕の中に囲ってしまった。レッドは高鳴る胸を押さえながら、落ちないようにアルヴァにぎゅっとしがみついた。
（いつか、いつか、これが本当のことになったら……）
　そうしたら、どれだけ幸せなことだろうか。


　※SS担当者：布川