イラスト詳細
貴方のオモイ
貴方のオモイ
イラストSS
「ルル家……!」
自分を汚いと泣きじゃくるルル家を遮那はしっかりと真正面から抱きしめた。
化粧が遮那の服に付いてしまうのを嫌がって、ルル家は腕の中から抜け出そうと暴れる。
「遮那君……、放して。汚れてしまうからっ!」
「放さぬぞルル家。化粧が落ちたぐらいで汚いなどと思うておらぬ。服に付くぐらいどうってことない。其方が気にしているのは、その下にある隈なのだろう」
後から後から溢れる涙が止まらなくて、
「遮那くんにこんな顔を見られたくなかった。可愛くないっ……くっ、ひ、嫌われて、しま」
「ルル家」
泣きじゃくるルル家を一層強く抱きしめる遮那。
ルル家は帰って来てからというもの、妙に余所余所しかったり、顔を隠すようになった。
「何があったかは今は聞かぬ。だがなルル家。私は其方が隈をつくっても肌が荒れていても、可愛いと思うし嫌ったりなどせぬ。心配はするが、嫌ったりなどせぬよ絶対に」
どんな姿であろうとも、遮那にとって少女が大切な存在である事に変わりは無い。
「だから、泣くなルル家」
懐から出した布で遮那はルル家の顔を拭う。
目の下の隈も荒れた肌も有りの儘を曝け出して、それでも笑顔を向けてくれる遮那に。
ルル家もつられて笑う。
雨はいつの間にか白い雪に変わっていた――
*SS担当:もみじ