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見られたくなかったホントウ
見られたくなかったホントウ
イラストSS
空には灰色の厚い雲が掛かり。
雲行きが怪しくなってきた聖夜の高天京。
ぽつりと地面に雫が落ちてくる。それに気付いたルル家は一歩後退った。
雨脚はどんどん此方へ向かってきて、次第に遮那とルル家を打ち始める。
「おや、雨か……何処か雨宿りをするかルル家?」
「は、い」
上ずった声が傍らから聞こえるが、遮那はルル家の手を引いて走り出した。
「もうすぐ、雨宿り出来そうな軒下がある」
「……」
静かになったルル家が何処か怒っているような気がして遮那は眉を下げる。
ルル家も男勝りな所があるが、可愛い衣装が濡れたりするのが嫌だったのだろうか。
軒下に着いたら、服の雫ぐらいは払ってやろうと遮那は彼女の手をぎゅっと握った。
「ルル家、もう大丈夫だぞ。雨宿りできそうだ……ルル家?」
顔を擦ったっきり俯いてしまったルル家を心配そうに見つめる遮那。
「どうしたのだ?」
「や……です。見ないで下さいっ!」
拒絶の言葉に遮那は伸ばした指を引っ込める。
ルル家の目尻から涙が溢れて、化粧がドロリと溶けていた。
目の下に隠した隈も、カサついた肌も、これでは見えてしまう。
雨に打たれたルル家の化粧が落ちてしまったのだ。
「見られたく、無かった。こんな……汚いっ」
*SS担当:もみじ