イラストSS

「んっ……」
　外は祭り。輝かしい聖夜に喧騒が奏でられている。
　そんな世界から隔てられた場所。甘いミルクで満たした湯船に、白、赤、緑のクリスマスカラーで彩られるそこで、少女達の艶やかな声が響く。
「マルベート、可愛い……」
　蕩けるような声で呟く天使の少女、ティア。
　その腕に抱かれて恍惚の表情を浮かべているのは悪魔の少女、マルベート。
　ティアがゆっくりと掌に包まれた胸のふくらみを揺らし、マルベートの耳を甘噛みする。
「あっ……ん、ティア……」
「ふふ、嫌じゃない？」
　問う彼女に、首をふるふると横に振って応える。ティアから触れられたところが熱くて、声にならない。それから、わかってるくせにと目で訴える。
　それを知ってか知らずか、目が合ったティアはくすりと笑う。
「そんなに気持ちいいんだ？」
　やっぱりわかっていた。マルベートは少しだけ怒って眉根を寄せるが、ティアが指に力を込めるとすぐに表情が弛緩して。
「ん、はぁ……」
　悔しいが気持ち良くて。そのまま流されてしまいそう。
　ティアもそんなマルベートが可愛くて、つい意地悪を重ねてしまう。
　そうして二人はミルク色の蜜月を。聖なる夜に奏でていく。


　※SS担当者：灯火