イラストSS

　外には目映いばかりの電飾が輝く夜、少女が一人、人から逃げるように隅へと移動していた。 その姿を見えていたのはシャンデリアに反射して美しいプリズムを生む白銀の髪を持つタキシード姿。
　不動 狂歌だけだった。デビュタントのダンスでステップを間違えたことを気にしての行動だろう。 「プリンセス、良ければ一興、どうですか？」
　チラリと捲ったジャケットの裏に仕込んでおいたのは遊戯室へのチケット。 誰もが争わず、美しい夜を祝うシャイネンナハト。そんな夜のデビュタントで失敗して泣くのも良 い。
　けれどそんな夜だからこそ、楽しい思い出で塗り替えなければ。
　ちょっと悪い子へデビュタントするのだって、大人の第一歩のはず。
「大丈夫、ダーツやビリヤードならそこまで怒られませんって。俺もいますし、ね？」
　控えめに手を添える幼き令嬢へ笑いかけ、狂歌はおどけながら地下の遊戯室まで案内する。 さあ、失敗は笑って遊ぼう。なんたって今宵は特別な夜なのだから。
　一緒に合言葉を叫んで、最後にはデタラメなステップで踊り明かしましょうと誘うのだった。


　※SS担当者：桜蝶 京嵐