イラストSS

「ほら、こっちです。まだまだいけますか？」
　走る水夜子を追掛けて、愛無は「転ばぬように」と揶揄い気味にそう言った。
　白雪の中を掛けていく彼女は漸くやって来た冬休みを喜んでいるようである。学生服姿の水夜子を追掛けて、愛無は購入済みの荷物を抱え追掛ける。
「次は何を買いに行こうか」
「そうですね。次は姉さんと龍くんのクリスマスプレゼントを。
　愛無さんと私の分はもう買いましたから、皆の分を購入して後で配りに行けるようにしませんか？」
　このためにお小遣いは溜めたのだと笑った水夜子に愛無は「屹度喜ぶよ」と頷いた。
　再現性東京は白雪の『演出』と共にクリスマスマーケットが広がっている。慣れたようには知っていく水夜子は「あ！」と声を上げた。
「どうかしたのかい？」
「愛無さん、大事なことを忘れていました。ケーキです。
　お買い物を終わったらクリスマスのケーキを購入しなくてはなりません。燈堂さんの家に持って帰るでしょう？」
「ああ。けれど彼方も準備はしているんじゃないかな」
「なら、私と食べるケーキですね。カフェに行きましょう。ホットチョコレートと苺のケーキでクリスマスを祝うのです」
　いいですよね、と微笑んでから水夜子は手を差し伸べた。まだまだ彼女との一日は続くのである。


　＊SS担当：夏あかね