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アリス・アド・アイトエムの緑茶による2人ピンナップクリスマス2021
アリス・アド・アイトエムの緑茶による2人ピンナップクリスマス2021
イラストSS
雪が舞い落ちる風景をぼんやりと眺めているとどこか既視感を感じた。
アリス?
恋人が首を傾げる、視線をそちらにやれば、既視感の正体に気づいた。
あぁ、きっと彼の髪色だ。
ともすれば、この雪景色に紛れて消えてしまいそうな儚さを纏った彼。彼女が人生で初めて好意を持った異性。
なんでもない。
彼女がはにかみながら答えると、彼は安堵のため息を洩らした。
よかった。
そんなあなたに、渡したいものがあるんです。
それから彼は笑って、彼女へ小さな包みを差し出した。
ほんの気持ち、ですけど。プレゼントです。
それを告げたときの彼女の表情は、彼の満足の郁ものだっただろうか。
驚いた後。溢れる感情をこらえるような表情をした彼女は、愛しい人の唇へと口づけを落とす。
目を白黒させた彼は、年相応の少年のような表情をしていた。
彼の瞳越しに見た自身の表情は、どんなものだっただろうか。
ありがとう。
何とか絞り出した声は、ちゃんと彼に届いているだろうか。
わからない。構わない。彼女は続ける。
ありがとう。――今は、これくらいしか返せないけど……、いつか、必ずノルンの気持ちを形にして返すから。
顔を赤くした彼が答える。
待ってます。
全く、これくらいなんかではないのだが、その抗議はまた今度にしよう。
きっとこれからも、長い時間を共に過ごせるのだから。
※SS担当者:樹志岐