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聖夜の祈り
聖夜の祈り
イラストSS
●酔生夢死
その姿は凛とした神々しい美しさ、と称する以外に例える言葉が見つからない――そんな美しさに溢れていた。
清らかな白いドレスを身に纏い、聖夜に目を伏せ祈りを捧ぐ聖職者の儚げな美しさと神々しさは近寄りがたい魅力に溢れていた。
……されどされど、こと彼女に――ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤに近寄りがたい空気が見えるのは、否、実際に【空気】は近寄りがたいものがある。
何故ならば祈りを捧ぐ彼女の周囲に転がっている瓶から放たれる、酒精の強い匂いと、酒の残滓だけでない“虹色の液体”の饐えた匂いは――。
「……うっぷ」
神聖な祈りを捧ぐ姿も打ち壊すかのように、口元を抑え小康状態を迎えていた顔色を分かり易く青褪めさせて――。
きらり、きらきら、きらら、きら。
響き渡る悍ましい筈の音色には天使の弾く琴の音色を被せてあげましょう。
見えてしまう濁っているのかもしれない色には、天に輝く美しき虹の色を被せましょう。
近寄りがたくなってしまう空気には――打つ手はありません。悪しからず。
しかし虹の波も過ぎ去ればまた――それもまた酒の齎す抗いがたき誘惑か。
……良い子の皆は、くれぐれも飲み過ぎには注意するように。お酒は楽しく、程々に。
※SS担当者:表川プワゾン