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イーリン・ジョーンズの棘ナツによる2人ピンナップクリスマス2021
イーリン・ジョーンズの棘ナツによる2人ピンナップクリスマス2021
イラストSS
シャンデリアの輝きが、大理石に落ちる人影を幾何学に描いていた。
無数の影は、やけに儚げな三拍子のメロディに合わせ、万華鏡のように花開き、閉じる。
「一曲いかが?」
窓の外を彩る星空を背に、イーリンはそっとペリカの手を取った。
「そういうとこ、ほんとずるいねい」
年経た長命種――ペリカは視線を泳がせ、まるで初心な乙女のようにはにかんだ。
同類のはずである友人が、思いの外『似合いすぎている』ものだから。それに窓硝子に映る己の、驚くほど可憐なドレス姿と、それを見つめる視線に。
「貴方も『同類』ならば――こっちに来られるわね?」
イーリンの艶やかな笑みの奥に感じられる、いたずら気な心の弾みは、ペリカに微かな安堵と、ある種の覚悟のようなものを与えてくれた。それに『穴掘りの好奇心』が疼いていないと言えば嘘になる。
「約束は約束わさけれど……」
煌びやかなドレスを着たことがないというペリカから、「穴の外でおめかししたい」と言質を取ったイーリンが、密かに狙っていた機会であった。
「どうしてそんなに上手いのかねい」
「貴方も『さま』になってるけど?」
「だったら、年の功ってやつかねい」
そう言って笑うペリカに、イーリンも安堵した。
願わくばこのささやかな友情が、ずっと続きますように。
そう思ったのも、きっと互いにであろう。
*SS担当:pipi