イラスト詳細
一条 夢心地のヤぴによるおまけイラスト
イラストSS
シャイネンナハトの道を行く。
降り積もる雪を踏みしめれば小気味よい音が鳴り響くものだ……
街にはあちこちに灯りが灯っている故にこそ往く――夢心地はソリに乗りながら。
「なっーっはっは! 皆よ、良い子にしておったかの?
麿がぷれぜんとを持ってきた故の! 受け取るがよいぞ。それそーれ!!」
「ふむふむ。地を駆けるトナカイの気持ちになるのも良いものですね。
これが彼らの見ている普段の世界でしょうか……」
人々に喜びの祝福を齎さんとするのだ。
紅き衣も身に纏えば準備万端。ソリを引くのはハイペリオンか――
トナカイを模した着ぐるみ……いや帽子だろうか、を被ったハイペリオンも笑顔であり実に協力的だ。『ふむ。人の子に祝福を、ですか……協力しましょう』なんて会話でもあったのだろうか。ハイペリオンはあえて飛ばずに地を走る。ええさ。ほいさ。人の子よ、待っていて下さいね――
「次のお家は近いですよ月原さん! さー張り切っていきましょーね!」
「リリファは元気だよなぁ。あっ、走ったらあぶねーぞ――ほら言わんこっちゃない!」
「おぉう。雪の日は滑りやすいからの。気を付けるのじゃぞ!」
よっせ、よっせ。更には夢心地たちだけではない。
掛け声と共にはリリファと月原も続いている。二人の姿も夢心地と一緒の紅い衣であり、背には大きな白袋も背負われているか――中にはきっと見ただけで楽しくなるようなモノで一杯なのだろう。あ、リリファが滑って転んだ! 月原が追う追う。
今日はシャイネンナハト。一年に一度の祝福の日。
皆笑顔で過ごそうよ! 輝かんばかりの――この夜に!
「……ところでなんで僕はツリーの役なんだい?
いや確かに季節モノではあるかもしれないけど、せめて動ける役が良いのだけど!?
あ、待ってくれ皆、置いてかないでくれー!」
と。そんな先往く者達の隅っこに見えるは装飾輝くギルオス・ホリス。
皆を照らす重要な役目だが……なぜかちょっと不満気な様だ。
ベルを鳴らして往く夢心地たちを追っていこうか。ツリーの着ぐるみと共に。
ああ――美しい雪が、また降り注ぎ始めた。