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デイジー・ベルのノキアによるおまけイラスト
デイジー・ベルのノキアによるおまけイラスト
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灯りが押さえられた照明とレースのカーテンが引かれた店内には柔らかなジャズが流れていた。
デイジーは柔らかなラズベリーチョコケーキを一口掬って口の中に乗せる。
屍機姿では味わえなかった風味と甘み。ラズベリーのぷちりと弾ける食感とチョコの蕩ける感触。
それを龍成にも味わって欲しくて、彼のフォークを少しだけ押さえつけた。
「何だよ。食べたいんだけど?」
「龍成……これ。美味しいです」
「へぇ。良かったじゃん」
デイジーはチョコケーキを掬って龍成の口元へ差し出す。
「あーん」
「……」
食べさせたいデイジーの方が口を開けて待っているのが何だか可笑しくて。
素直に口の中にチョコケーキを受入れる龍成。
確かにチョコの甘さとラズベリーの酸っぱさが爽やかで美味しい。
「どうですか?」
自分と同じように美味しいと感じただろうか。
『共有』できただろうかと不安と期待に揺れるデイジーの瞳。
こうして一つ一つ、同じ味や景色を分かち合っていける。
そんな関係がきっとお互い初めてで。
何もかもが手探りで、外から見れば変に映るかもしれないけれど。
それでも、このカタチは自分達の在り方だから。
龍成は「美味しい」と目を細めた。
*SS担当:もみじ