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一人と一匹のシャイネンナハト
一人と一匹のシャイネンナハト
イラストSS
――外は、真珠白に煌く雪が降っているかな。
毛足が長い毛布生地に身を包み、群青の夜天抱く街、雪冠る家。檸檬ティーの香漂う部屋の中。白群のソファに腰掛けて、キミに微笑む。
「どうしたの、構ってほしいの?」
雪白の毛足をぽふり、おずおず。
猫のキミが窺うように顔を視るのが、温かで。
「いいよ、おいで」
「ぅ~みゃ」
抱き寄せれば、頬に微かな吐息が触れて「くすぐったい」「みゃ?」キミは無防備に全身を預けて、さらさらな肌触りを楽しむみたいに毛布に手を滑らせて、昨日と違う雰囲気の夜に不思議そうな顔をしているね。
――特別な日、なんて。
猫のキミには、わからないかな。
いつも。
広い世界に身を寄せ合うように、ひとは語り合うんだよ。
俺は彼らの傍らで、何度特別を観ただろう。
「この日は毎回、俺の出番はなくて――」
喉をごろごろと鳴らすキミが目を細めて頬を寄せ、親愛の温もりを全身で伝えてくれるから。そんなことさえできなかった過去が泡沫めいて浮かんで儚く溶ける。
「にゃぁ!」
「っ、爪は痛いよ。だぁめ」
――キミが、温かに生きるといい。
小さな熱もいずれ大地に還るから。
この無垢な命と微睡む特別な平穏を慈しもう。
※SS担当者:透明空気