イラスト詳細
巡り来る運命。聖なる日にて
作者 | kzgr_ |
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人物 | ベルナルド=ヴァレンティーノ |
イラスト種別 | 関係者2人+PCピンナップクリスマス2021(→おまけイラスト)(サイズアップ) |
登録されているアルバム | |
納品日 | 2021年12月24日 |
イラストSS
パオロ・バッティスタ、そしてアネモネ=バードケージ。それは天義と関わりのある者にとって、聞いたことがないということはないだろう名前である。
片や、聖教国ネメシスの名家バッティスタ家の現当主。
片や、悪名ある異端審問官。通称『束縛の聖女』。
彼らは義理の親子という関係であったが、これまでアネモネが距離を置いていた。故に、2人揃うということは珍しいことなのだった。
その珍しいことが今、起こっている。目の前で筆を取る画家はイレギュラーズだ。しかし彼女の我儘がなければ、連れては来られなかっただろう。他にも著名な画家は沢山いるのだから。
先に言いだしたのはパオロだった。冬の始まりに、2人で肖像画を描いて貰おうと。しかし当のアネモネが『私を描いていいのは彼だけよ』と言い張ったために――さらに言うならその我儘をパオロが退けられなかったために――呼びたてることとなったのである。
画家は真剣な表情で2人を観察し、筆を動かす。その様を何と無しに見ていたパオロだったが、ふとその大腿部に引っ掛けられたものを見て目を瞬かせた。それからぎゅっと眉を寄せ、さらにその後目を見張った。
最初はわからなかった。ただ、何と無く見覚えがあると思っていただけだったのに。
あれは――あのスキットルは、あの子に持たせたものではないか。渡したあの時と寸分違わない状態のそれが、画家の元にあった。
「――君」
「はい」
アネモネの視線を感じる。けれど、今ばかりはそちらを気にしてなどいられようか。
一方のベルナルド=ヴァレンティーノ(p3p002941)は、何かあっただろうかと恩のあるパオロへ視線を向けた。
「その、スキットルは」
「こちらですか?」
パオロの視線に気づき、一旦筆をおいてスキットルを取り出す。間近で見せられれば尚更、自身の渡したものだという確信が強くなった。
「スキットルに何か……?」
「……いや。すまない、続けてくれ」
アネモネの言葉に首を振って、ベルナルドを作業へ戻らせる。そうすれば彼の作業を邪魔しないよう、アネモネも口を開くことはない。
ある意味誰にも邪魔されない思考時間である。その中で、パオロはベルナルドがあのスキットルを持っている意味を考え始める。
先入観があるからだろうか、作業するベルナルドの横顔は、どことなく懐かしいような気がしていた。
※SS担当者:愁
挿絵情報
- 公認設定『バッティスタの血』