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仙狸厄狩 汰磨羈のYAMIDEITEIによるSS用イラスト
仙狸厄狩 汰磨羈のYAMIDEITEIによるSS用イラスト
イラストSS
●死線雷撃
冠位魔種――まさに生命体として『格が違う』。
されど、重戦車の如き威圧感で絶大なる死を纏うアルバニアを前にしても汰磨羈は怯む事は無かった。
――『一手』等と。そう言うようでは主の望みは叶わぬぞ?
何時か聞いた言葉がその脳裏に蘇っていた。
大時化すら児戯に感じる状況に身を投じながら、彼女は明鏡止水の如く揺れていない。
それは染み入るような言葉だった。
彼奴の説教、その内にある真意の何たるかは推測する事しか出来ないが――
(――あの時の私は。後の事を考え、それ故に一手だけで退くという選択をしたのだ)
その『温さ』だけは理解せずにはいられようもない。
一刀に全力を込める気持ちそのものこそ本物であったと疑う気は無いが、後先を考えた一撃が怪物に届くものか。
悪鬼羅刹に挑み、その魔性を斬ろうと云うならば。
(ああ、確かに。そんなモノでは、私の望みなど決して叶わぬ……ッ!!!)
『知れた』事こそ、分水嶺だ。
「――礼を言うぞ、死牡丹 梅泉。御蔭で喝が入ったわ!」
裂帛の気合いと共に斬撃を繰り出した汰磨羈の口角が持ち上がる。
絶望の海は正に死地。いやさ、真に地獄と言うべきか。
なればこそ、嗚呼。今この化生が為すべき事は、只一つ。
『只々只管に、一撃でも多く、未来へ向けて無尽に斬り続けるのみ』。
「行くぞ、冠位よ!」
強く握りしめた刀の切っ先を、竜の頭上に座す冠位へと向け、吠えてみせよう――
「我は厄狩! この身に刻んだ決意を乗せて、此処で貴様と言う災厄を断つ!!」
※スキル『無現斬・厄狩厄式』を習得しました!