イラストSS

●王の痛恨
「いやはや。私だって別に自身を無力とは思っていなかったさ。
　しかし、先日の妖精郷での動乱でつくづく今の至らなさを痛感したよ」
　渋面をしたマルベート・トゥールーズ（p3p000736）は机に肘をつくレオンに何とも言えない調子でそう零す。
「何とか私のアルベドは喰らう事が出来たけど、フェアリーシードまで喰う余裕はなかった。このままでは今後も喰いたいものを逃してしまうに違いない。これは由々しき問題だよ」
「相変わらずの食いしん坊だねぇ。で、どうするって？」
「そこだよ。そんなのは二度と御免だ。私の『最初の契約』にも反している。二度と御免なら処方箋が必要だ。丁度時間も出来た事だし、少し鍛え直そうかと思っていてね。時には昔を思い出して――」
　マルベートは何故自分が『弱い』のか考えてみたのだ。理由は様々あろうが、ローレットの居心地が良すぎたのは問題だった。悪魔たる自身までもが温かい空間に引きずられた事は否めないし、笑えない。
　故に必要なのは『昔』だった。
　冷たい悪意を研ぎ澄まし、獣の如く貪欲に。
　捕食の王の黒き翼とこの顎は死の奈落、彼女が統べる領域だ。
　世界を喰らう獣の力を見せてやろうとするならば。
「そういう訳で、レオン。ローレットで一番危ない依頼を貰おうか！」

★『開眼の好機』により、クラス『奈落の王』が出現しました！

SS担当：YAMIDEITEI