イラストSS

「それゆけー！　しにゃこサンタさんのプレゼント大作戦、開始なのですー！」
　サンタ服にサンタ帽子、とサンタになりきったしにゃこが赤いソリの上から、びしっと指を指す。
　そんなソリから伸びる、赤と緑のリードには、オレンジと白の毛並みの鹿……ではなく、ポメラニアン二匹。
『……？』
　ポメラニアンたちはきょとんとし、しにゃこの指示に従う素振りも無く、しにゃこを見上げるように座っている。
「あれ？　ほら、サンタさんの出発なのですから、そりを牽いて貰わないと困るのです！」
　釣り竿の先にほねっこを括り付け、前へ振り投げるが……ポメラニアン二匹はきょとんとしている。
『え？　しにゃこが引くんじゃないの？』
　二匹が言葉を喋ったら、そんな事を言っている筈。
　だが、しにゃこはえー、なんでー、と首を傾げ、足をじたばた。
「……やれやれ、参ったな。そのままだと朝まで進まないぞ？　しにゃこ」
　と、ポメラニアンとのやりとりに、腰に手を当てて苦笑しているのはベネディクト。
　そんな彼も、しにゃこと同じくサンタ服にサンタ帽子……手伝って、というので来たのだが、これじゃ、いつまで経っても始まらない。
「子供達の笑顔を見に行くのです。だから、れっつごー、なのです！」
　と、しにゃこの言葉にベネディクトは。
「全く、仕方ないな……ほら、行くぞ？」
　やれやれと言いながら、そっと背中からソリを押すのであった。


　＊SS担当者：緋月燕GM