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歪な愛
歪な愛
イラストSS
シャイネン・ナハトに彩られたとあるホテルの一室。
鏡とピリム・リオト・エーディは一言で表現するなら『愛し合って』いた。
それはそこに存在する歪みなど、気にならなくなる程に……。
——鏡の想う愛は、他とは少し異なる。
大事な人も瞬きした次の瞬間には斬りたくてたまらなくなってしまう。
それは決して愛が消えるわけじゃない。愛したままに、愛しているからこそ。
そして、私の愛は特定の一人を選ばない。皆を愛せてしまう。
——人を愛したことのなかったピリムは想う。
いつだって愛おしいのは人じゃなくて人の足、奪ってきたのは心じゃなくて人の命。
そんな私が生まれて初めて“人”を好きになった。
理由なんてない、足だけじゃなくて彼女の何もかもが全部愛おしい。
だから私は、ただただ純粋な愛を告げた。
「愛してますよぉ、ピリムちゃん」
なんて愚かで可愛いらしいのだろう。
それでもいいと、彼女は言った。
だから、無数にある私の愛の内一つを彼女専用にした。
「鏡ちゃん、私も大好きです……」
いつか彼女を斬る刻まで。
いつか彼女が死ぬ刻まで。
鏡の吐息交じりの唇が優しくピリムの頬に触れる。
彼女たちの猟奇的な愛はもう、何者にも止めることは叶わない。
*SS担当者:牡丹雪NM