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二人でお風呂
二人でお風呂
イラストSS
悴んだ指先に湯が染み渡る。
白い粉雪が舞い散る露天風呂は冬ならではの風物詩。
落ちてくる雪は湯に触れた瞬間その姿をけしてしまう。
何とも風情ある湯浴みの時間だろうか。
遮那はゆったりと湯の感触を楽しんでいた。
木戸が開く音がして、誰かがやってきた事を悟る遮那。
ペタペタと石造りの洗い場を歩いてくる音と上機嫌な鼻歌が聞こえてくる。
聞き覚えのある声の主に振り向こうとして、此処が温泉であることに遮那は気付いた。
何故と問う間も無くルル家と思わしき人物は湯の中に入り遮那の元へ近づいて来る。
「遮那くん。奇遇ですね」
「な……」
気さくに話しかけてくる声は、やはりルル家だった。
――ちょっと待って欲しい。何故彼女が此処に?
混乱する思考の中、背中越しに感じる少女の気配に遮那は頬を染める。
「る、ル家……なぜ」
「遮那くんと温泉に入りたかったからですよ」
さっき奇遇って言ったはずなのだが。そんな事はこの際どうでもいい。
「はぁ……良いお湯ですね。こんなに気持ちいいなら拙者毎日でも入りたいですよ」
「そ、そうか」
今の遮那にとってお湯の良さなぞ視界に入っていない。
顔に紅葉を散らし、眉を寄せて溜息を吐いた。
※担当GM『もみじ』