イラスト詳細
夢見 ルル家のしもふりによる2人ピンナップクリスマス2020(横)
夢見 ルル家のしもふりによる2人ピンナップクリスマス2020(横)
イラストSS
●埋め合わせになりますか?
パーティは終わり、人影はなくなっていた。
例年にない程に賑やかさに溢れたアーベントロート邸のパーティも終わってしまえば寂しいもの。閑散としたホールでは、一人残ったリーゼロッテ・アーベントロート(p3n000039)が外の月を見上げているだけだ。
「――リズちゃん」
「あら、ルル家さん。お帰りになったかと思っていたのだけど」
声を掛けられ、視線を向けたリーゼロッテに夢見 ルル家(p3p000016)が少し困った顔をした。
「……謝らせてくれなかったじゃないですか」
弱り顔のルル家にリーゼロッテは「何の事かしら」と惚けた顔をした。友人らしい友人の居ない彼女が数少ない特別であるルル家の『無茶』に憤慨しているのは知れていた。「無茶をしたら剥製にする」とまで言われればそれは全く明らかで……
(剥製は兎も角!)
……心配をかけた事を謝りたかったのはルル家にとっての気がかりだったのだ。
幾度かのお色直しを経て血のように赤いドレスを纏った彼女は蠱惑的で美しく、そして圧倒的に危険だった。
「――リズちゃん」
燕尾服を着て手を差し出したルル家にリーゼロッテは笑う。
「埋め合わせになりますか?」
「王子様みたいにリードをしてくれたら、ね」
静かなダンス・ホールに影達が揺れる。
――仲直りの、そんな聖夜を眺めていたのは月だけだった。