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ロゼット=テイの大福 黒団子によるおまけイラスト
ロゼット=テイの大福 黒団子によるおまけイラスト
イラストSS
白く染まった街並みのなか、浮き足立つ影たちとすれ違いながら、ケープ付きの冬用コートでおめかししたロゼット=テイはゆったりと夜を行く。
ふと、覗き込んだ光あふれるショーウィンドウ。特別に派手という訳でもないのに、ぐっと心惹かれるような出会いの予感に手を引かれ、彼女は雑貨屋のドアを潜った。
カラン、カラン、鐘が鳴る。いらっしゃいませ、と控えめな女性の声に迎えられた店内は優しい色合いでまとめられ、こじんまりとした居心地の良いところだった。
会釈だけ返したロゼットは窓越しに見えた棚へ向かう。並んでいるのはシャイネンナハトを彩るのにぴったりな置き物たち。天辺に星を冠して輝くツリー、柔らかそうな雪だるまのマスコット、ゆらゆらと揺れるトナカイ。それからスノードームには、ひらひら、ひらひら、雪が降る。窓の外と同じに冷たいガラス玉は、けれど手に取ればほんのりあたたかく感じられて、まあるく閉じ込められた雪景色を映した金色が柔らかく細められた。
不思議、不思議。これは今日という日にかけられた輝かしい祝福のせいか、それとも胸に過ぎるいつの日かの思い出の温度だろうか。どちらにしろ、しあわせな魔法を享受するなら思うままに選ぶが吉。ロゼットは迷わず店員を振り返った。
*SS担当者:氷雀NM