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またね
またね
イラストSS
星降る夜には月の灯りが降り注ぐ。
楽しいひとときは瞬きの速さで過ぎ去った。
「はぁ、寒いですね」
口元に揺れる白い息。悴む指先が赤く染まる。それでも隣にある温もりが心地良いから。
もう少しこのままで居たいと願ってしまう。
「そうだね。離れてしまうのが名残惜しいぐらいだよ」
「ふふ、年が明けたらまた遊びましょうよ」
「……ああ」
愛無の心が僅かに揺れる。
廻と居ると忘れそうになってしまうけれど。愛無にとっての『決着』を着けるときが迫っている。
ルウナと剣を交えるということは。『家族』を斬り捨てるということなのだ。
想いは重く愛無の心をかき乱す。
「じゃあ、また会おう廻君」
「はい。また」
己は空っぽだと思っていた。ただ食欲の本能だけが支配しているのだと。
されど、家族を斬らねばならない事に不安を覚えるのだ。
こんなにも己の内側に『愛』が溢れているなんて思ってもみなかった。
きっと、決別を向えるのだろう。他の道は無いのだと分かっている。だからこそ。
もし、帰ってきたら。
おかえりと言ってくれるだろうか。
何も聞かず、ただ。抱きしめてくれるだろうか。
言葉にすることさえ儘ならない。歪な怪物の心に、ただ寄り添って――
※担当GM『もみじ』