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イラスト詳細

ラグラ=V=ブルーデンの山神さやかによるおまけイラスト

作者 山神さやか
人物 ラグラ=V=ブルーデン
つづり
そそぎ
建葉・晴明
イラスト種別 おまけイラスト(→元発注イラスト
納品日 2020年12月24日

1  

イラストSS

「次はあっちに行きますよ」
 早く、と急かすようなラグラを急ぎ足で追いかけるそそぎは晴明から少し距離を取る。
 そんな様子を察知してラグラは小さく笑みを浮かべた。「セーメーは相変わらず」と揶揄ったがその声に振り向いたそそぎは大荷物を懸命に抱える晴明を心配そうに見上げていた。
「セイメイ、だいじょうぶ?」
「……あ、ああ。其れで、次は何処へ参るのだ」
 大きな風呂敷を抱えた晴明は今日は荷物持ちだ。
 ラグラに言わせれば「レディの買い物には荷物持ちが必要」である。そそぎも「荷物持ちなら一緒でもいい」なんて少し冷めた口調で返していた。
 今日、三人が纏うのはラグラのプレゼントの品々だ。マフラーはラグラが考え抜いて選んだ物を。
 寒々しいカムイカグラで防寒のために使える物をチョイスした。
 つづりとそそぎは揃いの着物を。晴明も外出用の羽織を纏っている。
 巫女と中務卿にあまり馴染みの無い『シャイネンナハト』を楽しんで欲しいと外出を呼び掛けたラグラは背後の三人の様子に小さく笑みを浮かべていた。
(セーメーもそそぎも相変わらず)
 彼等の関係性は少し微妙だ。
 つづりは晴明にも霞帝にも懐いてはいるが、そそぎはそうではない。どちらかと言えば唯一の『姉妹』を取られた気もしているのだろう。兄貴分、保護者である晴明が少し鬱陶しいお年頃。
 距離を取ってラグラの傍まで寄ってきたそそぎが「何処に行くの」と頑なに背後を――つづりの事は確認しているが、その背後の『荷物持ち』だ――見ない様子は面白くさえ感じられる。
「どこがいい?」
「余り知らない」
 問えば、そっぽを向いたそそぎの頭をラグラはぐしぐしと掻き乱した。「ちょっと!」と拗ねたような彼女に可笑しくなってしまった。
 そうか。知らない。
 それはそれで当たり前だろうか。双子の巫女は此岸ノ辺の『神隠し(バグ)』で大忙しだったのだ。
 市井の事は余りなれては居ないのだろう。
「じゃあ、案内してやるか。仕方ねーのでセーメーは荷物持ちで」
「……まだ行くのか」
 何処かげんなりした様子の晴明にそそぎが「だからモテないのよ」と呟いた。
 ラグラとつづりは顔を見合わせ、つづりは困ったように小さく笑みを噛み殺したのだった。


  *SS担当者:夏あかねGM

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