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【クリスマス2020】煌きの舞の奇跡/しもふりさま
【クリスマス2020】煌きの舞の奇跡/しもふりさま
イラストSS
鉄帝はヴィーザル地方。北国の例に漏れずこの地も冬は雪に埋もれる。
そこに住まう者達にとって厳しいもの。しかし、時としてそれは特別なものを齎す事もある。
「わあ、すごい……!」
生き物の声がしない朝。津々流は寒さに負けないように着込んで、外を歩いていた。
どれだけ着込んでも、頬を撫でる空気は冷たく痛さすら感じる程であったが。それすらも忘れさせる光景がそこにはあった。
ダイヤモンドダスト。
風が弱く、大気が冷たい時にだけ見える小さな小さな氷の粒達。一瞬だけ輝いてすぐに消える儚きもの達。
津々流がこれを見るのは初めてであった。知識としては知っていたが、元いた世界では比較的暖かい場所にいた為に、雪は降れどもダイヤモンドダストは見たことがない。
「綺麗だねぇ……」
しばし足を止めて、木々の間に降り注ぐ小さな輝きに見惚れる。
文字を食べる彼だが、この光景をどう表現すればいいのか、すぐには思いつかない。帰ってから書こうと思うが、書き残しても食べようとは思わないだろう。
「勿体ないもの、ね」
この輝きは文字に残して、未来へ伝えるべきである。
そう信じて、彼は帰路につく。筆を手にとる為に。
*SS担当者:以下略NM