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ルツ・フェルド・ツェルヴァンの枢真のえるによるおまけイラスト
ルツ・フェルド・ツェルヴァンの枢真のえるによるおまけイラスト
イラストSS
恋の香に酔う声は、共に過ごせる喜びを歌い、心の隙間も埋めていく。
そんな中でシャルは贈り物のピアスをルツの耳朶へ届けた。張り裂けんばかりの胸はとくとくと鳴りながらも、清き血を全身へ送っていく。火照りはいつしか、シャルの唇も頬もふわりと色付かせた。すると。
「私も……シャルを思ってこれを選んでみたのだが……」
ルツがそう囁いたものだから、シャルの睫毛がぱしぱしと震える。
やがて差し出された小箱の形を、解かれた封から顔を覗かせた指輪の煌めきを、シャルは鮮烈に記憶へ焼き付けた。
「ル、ルツさん、これ……」
感触のすべてが集ったと錯覚するほど、目の奥が熱くてたまらない。
言葉がつまり、視界がぼやけていくばかりのシャルへ、ルツはそっと囁く。
「形として残る未来の約束を……シャルと……結びたかったんだ」
伝えても、ルツを捉えて離さないシャルの声は、笑顔は――涙で洗ったように潤んで止まない。
だからルツは溢れる愛おしさごとシャルを抱き寄せ、唇を辿る。喜びに揺れるその声ごと、味わうために。
つける時には快い冷たさを伝えたピアスも、指輪も。二人の唇が重なる頃にはすっかり熱くなっていた。
*SS担当者:棟方ろかGM