イラスト詳細
【Scheinen Nacht2020】輝かんばかりの、この夜に【5】
【Scheinen Nacht2020】輝かんばかりの、この夜に【5】
作者 | 糸巻茜 |
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人物 | エルス・ティーネ ディルク・レイス・エッフェンベルグ |
イラスト種別 | 2人ピンナップクリスマス2020(サイズアップ) |
登録されているアルバム | |
納品日 | 2020年12月24日 |
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イラストSS
●砂漠の夜
私は何時もからかわれてばかりだった。
エルス・ティーネ(p3p007325)はこのお方――ディルク・レイス・エッフェンベルグ(p3n000071)――ラサの傭兵王にとっては玩具のようなものだと思っていた。
……自覚して今の私は幼い。
『こう』なる前まではそんな事思っても見なかったのだけれど。
実際に『そう』なってしまえば否定仕切る事も難しかった。
空虚だった私の世界はこの砂漠で彩りを得たのだ。夜空に無数に瞬く砂漠の星達はラサで知った希望の数だ。
――黒い絵の具で塗り潰された私のキャンバスはその星を瞬かせる傍らの太陽(ディルクさま)にすっかり塗り替えられてしまったのだ。
「……だから」
ねだった夜だから私は勇気を振り絞る。
「だから、私は――貴方様を愛しているのです」
幼気な美貌には精一杯が浮かんでいた。
『自称千五百歳』は飽きる程聞いた『侮り』だ。
余程甘く見ていたのだろう。ディルク様が少し驚いた顔をした気がした。
「まさかお嬢ちゃんからそんな台詞が聞けるとは」
「……もし」
「うん?」
「もし、少しも可能性が無いのでなければ」
――抱きしめてくれませんか。聖夜ですから。
青々しいこんな小細工、百戦錬磨(あなたさま)には通じないでしょう。
でも、百戦錬磨の側が『可愛げ』を甘やかしてくれるなら話は別になるでしょう?
「……じゃあ、お言葉に甘えて。『こんな感じ』でいいかね?」
『お嬢ちゃん』な私の身体はディルク様の身体にすっぽりと収まった。
これで終わりなら、何時もの話。
――そして、この先があるから、聖夜(シャイネンナハト)なのだ。
挿絵情報
- 公認設定『ディルク様IV』