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ヴェルグリーズのmairryによるシングルピンナップクリスマス2020(縦)
ヴェルグリーズのmairryによるシングルピンナップクリスマス2020(縦)
イラストSS
輝かしきシャイネン・ナハト。
そんな夜に『ヴェルグリーズ(別れるもの)』が考えていたのは、先の戦いのことか——はたまた過去に別れた数多の持ち主のことか。
どちらにせよ彼は穏やかな様子でカウンターに身を寄せた。
「マスター、いつものお願いするよ」
ヴェルグリーズが訪れたのは、行きつけの酒場。普段からあまり人が寄り付く酒場ではなかったが、聖夜の夜ということも相まって客はヴェルグリーズただ一人だった。
彼がオーナーに注文をすれば、元から用意されていたようにカクテルグラスが目の前に出される。
「ありがとう」
霜のついたグラスに、注ぐ先から細かに泡立つほどよく混ざり、よく冷え、アルコールの角も削れた風味にまろやかな輝きが感じられるカクテル。名前はギムレットという。
カクテルには花言葉のようなカクテル言葉が存在するが、ギムレットのカクテル言葉は“遠い人を想う“だ。出会いと別れを繰り返し、幾多の持ち主と共にしたヴェルグリーズはそんなカクテルを好んで飲むらしい。
そんな彼に気を利かせたのか、酒場のオーナーは「サービス」だと追加で別のカクテルを用意した。
名前はジントニック、カクテル言葉は“いつも希望を捨てないあなたへ“。
ヴェルグリーズは一瞬目を丸くするが、微笑みながらカクテルグラスを上げた。
「輝かんばかりのこの夜に——乾杯」
*SS担当者:牡丹雪NM