イラスト詳細
赤羽・大地の大福 黒団子によるおまけイラスト
イラストSS
●
ㅤシャイネンナハトは誰にでも平等に。もちろん、大地にも、そして赤羽にも平等に訪れた。
「これは……」
ㅤ一体どこから届いたのか。何故届いたのか。
「プレゼント……ああ、シャイネンナハト」
ㅤ大地がそう零す。目線の先にあるのは、無造作に置かれた2つの包みである。
「……どう見ても不穏な気配しかしねぇガ……開けてみるカ」
「そう……だな。このまま包みを捨てるのはそれはそれで問題がありそうだ……よし」
ㅤ赤羽の言葉に、意を決したように包みへと手を伸ばす大地。
ㅤはたして、2つの包みからは、それぞれひとつずつの品物が顔を出した。
ㅤ一方はナイフ。赤い光沢を放つそのナイフからは、禍々しい狂気のような物が見え隠れしている。
ㅤそれが抜き身で入れられていたことから、これを授けたものは人を傷つけることに躊躇いがないということを察せられる。
ㅤそして、一方は本。青地の無機質な表紙には、金の装飾が施されている。赤羽の目には、それが魔力を多分に含んだものだと写った。
ㅤそれが自身を遠ざけるものだとも。
ㅤ
ㅤいや、大地は、赤羽は、それらが誰から送られてきたものか既に結論づいていた。
ㅤ今にも大地に飛びかかるのではという程の不安をもたらすこれは、赤羽の弟。今はアリスと名乗る彼よりのプレゼントに違いないだろう。
ㅤ執拗なまでに赤羽を押さえ込もうとするこの魔力。これは、「私は誰だろう」、その一言のみを残して姿を消した書籍卿、ビブリオティカ・ティエーラその人からのものであろう。
ㅤどちらも、大地を、赤羽を狙う者のプレゼント。
「……どうするんだよ、これ」
「どうもこうもねぇだロ、捨てるゾ」
ㅤ強ばった表情の大地とは裏腹に、飄々とそう言ってのける赤羽。
ㅤ確かに、赤羽と大地は現状互いを嫌い合っている訳でも排除しようとしているわけでもない。
ㅤであるならば、このような諍いの種となりそうなもの、持っていてもしょうがないだろう。
「……いや、持っておいた方がいいんじゃないか。捨てるったってどこに捨てるんだって話になるし」
「……まぁ、別にいいけどヨ」
ㅤ結論としては、ナイフは固く封をして保管、本は大地の本棚へと保管しておくこととなった。
ㅤしかし、これで本当によかったのか。
ㅤ二つのプレゼントが何を訴えているのか。
「ふふ、ふふふ。もうすぐ、解放してあげるからね、兄さん」
「気をつけろ、大地。赤羽の侵食はすぐそこまで迫っている」
ㅤ赤羽/大地は、彼等がそう伝えているような気がしてならなかった。
*SS担当者:七草大葉NM