イラストSS

　クラリーチェの教会で、猫たちと共にシャイネンナハトのパーティーを。
　ドレスコードは『可愛いお洋服』、テーブルの上にはディナーとケーキを準備して。
「……その、恰好がどうにも着慣れませんね」
　照れ臭いと柔らかな灰の髪を指先で遊ばせたクラリーチェは常と同じ修道服での参加を行おうと猫たちと待機していた所を蜻蛉と雪之丞に捕まって――
　ハイウエストのスカートにフリルの付いたシンプルなブラウスを合わせれば、何処かのご令嬢を思わす様で。豪奢なスカートをふわりと揺らしたエンヴィは「似合ってるわ」と囁いた。
　普段からロリィタを着慣れた彼女は大きな赤いリボンを飾っていても愛らしく、「エンヴィさんも可愛いですよ」とクラリーチェはどこか緊張したように呟いた。
　ぱちり、と瞬いた雪之丞は膝の上で丸くなった猫の背を撫でる。二人と同じようなカジュアルなロリィタファッションをと選択したのは蜻蛉だった。
『シャイネンナハトのパーティーよ。折角やもの、みんなで可愛い恰好しよ？』の一言にこくりと頷いた洋服は柔らかな生地で心地よい。和装と違っていてもこうして皆で揃いの格好をするのは気恥ずかしくも嬉しくて。
「今日のお召し物、とってもよお似合ってる。皆、綺麗やよ？」
　金の瞳を細め、猫の様に微笑んだ蜻蛉にエンヴィは猫を撫でながら「蜻蛉さんも、素敵だわ……？」と微笑んだ。
「おおきに」と淑女の笑みを浮かべてシャンパングラスを揺らがせた彼女の猫の尾へ教会の猫が擦り寄っていく。
「色々とこう……自分じゃないみたいな恰好なのですが……ありがとうございます」
　緊張するクラリーチェの様子を感じ取ったのか猫たちが主人を伺い「にゃあ」と鳴く。
「猫達も、クリスマスを楽しめてるかしら……？」
　ぱちり、と瞬くエンヴィの鮮やかな蒼い髪に白猫が擦り寄ってからうんと一つ伸びをして。
　クラリーチェを見つめてから大仰に首を傾げて見せる猫の様子にエンヴィも釣られて首を傾いで見せる。
「『かわええよ』って猫も言うてるんよ」
　揶揄うように微笑む蜻蛉に「そうですね」と雪之丞は頷いた。沢山の料理が並んだテーブルは手を付けて貰うのを待つように楽し気で。
「いつもと違う、賑やかな夜ですね。とても、楽しい夜です」
　雪之丞に応える様に膝上の猫も「にゃあ」と小さく鳴いて見せた。

　まだまだこれから本番だから、輝かんばかりのこの夜を、猫たちと共に盛大に楽しみましょう――


　＊SS担当者：日下部あやめGM