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アシェン・ディチェットのくらいによる2人ピンナップクリスマス2020(横)
アシェン・ディチェットのくらいによる2人ピンナップクリスマス2020(横)
イラストSS
「おねーさん」の手がどこに連れて行ってくれるのか、フルールは楽しみで仕方ない。
その手は冷たいけれど、自分を気遣う心が温かい。
「ねえ、どこに連れて行ってくれるの?」
高揚する気分のまま尋ねても、「まだだめだわ!」と悪戯っぽく微笑む「おねーさん」ことアシェン。
雪の舞う冬の夜を駆ける二人。街路を抜け、街灯を置き去りにし、道行く人を追い越していく。
アシェンはフルールの手を取りながら、彼女を知りたいが故に道すがら話しかける。
例えば、好きな食べ物の話。
例えば、好きな人の話。
例えば、思い出に残る冒険の話。
フルールはアシェンの後ろでそれに応える。アシェンはそのやり取りに目を細め、時に応じて盛り上がる。
縮まる距離に反比例するように伸びる移動距離。
「まだつかないのかしら?」
「もうすぐ、この階段の先なのだわ!」
逸る気持ちを抑え切れず、一足飛びに階段を駆ける。
頂上が近付く。その視界が急に開け、そして。
そこは大きなツリーを飾るオーナメントが店の光に照らされ、反射し、淡く煌めく店の光景。
オーナメントと同じように輝くフルールの隣で、アシェンの口が音もなく紡ぐ。
————輝かんばかりの、この夜に!
*SS担当者:澪NM