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ハンス・キングスレーのくらいによる2人ピンナップクリスマス2020(縦)
ハンス・キングスレーのくらいによる2人ピンナップクリスマス2020(縦)
イラストSS
イルミネーションが輝くモミの木の下でハンスと頼々は互いの手を絡めて笑いあっていた。
まさかこうして聖夜を共に過ごすなど、一月前には想像もしなかった。
「全く、邪魔をしおって」
「だって、死んでほしくなかったんだよ」
豊穣の地で頼々は最期まで自身に執着した鬼の女と闘った。
何度も戦い、傷つけ、傷つけられ。既にぼろぼろの身体で唯叫んだ。
たった一度限り、奴を殺す刃を寄越せ。
パンドラは頼々の覚悟に応え、その可能性を零し溶かしながら彼女に癒えぬ傷をつけた。
――死んでも構わなかった。恐ろしくなど無かった。故に躊躇いなく叫んだ。
だが、ただ一人だけ其れを良しとしない者が居た。
死んでほしくない。
その想いだけを抱いて、その青き命を散らしても構わないと二人の世界に無理やり割り込んだのがハンスだった。
結果として、止まるはずだった頼々の物語はまだ続き、こうして聖夜を迎えることになる。
「本当に、良かった」
「……ふっ。不出来な弟子を持ったものだな」
そういう頼々の顔はやはり笑っていた。
これはパンドラの奇跡の果てに彼らが掴み取った明日。
二人は唯、ひしと繋いだこの手を離すのが惜しかった。
*SS担当者:白NM