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ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤのシュマによる2人ピンナップクリスマス2020(横)
ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤのシュマによる2人ピンナップクリスマス2020(横)
イラストSS
シャイネン・ナハトは、すべての人に平等に訪れる。
貧する者に、富める者に、満たされぬ者に、与える者に。
そして、鉄帝のとある集会所は今まさに、年に一度に迎える『その機会』を優しく包み込んでいた。
「ほーら、押さないの。まだたくさんあるからね?」
「「はーい!!」」
穏やかな女性の声、テーブルいっぱいに並ぶ料理の数々、そして整然と順番を待つ子供達。歩みの先には、スープをよそって渡すヴァレーリヤの姿があった。その顔は慈愛の笑みを湛え、彼女の信ずるものへの献身が見て取れる。
「この日ばかりは、卿も優しいのだな」
常の重厚な鎧と精悍な顔立ちを脱ぎ捨てたベルフラウは、赤子を優しく抱え上げながら冗談ぽく笑う。
「失礼ですわね、わたくしは子供達にはいつも優しいですわよ?」
ヴァレーリヤは、常と異なり穏やかに反論してみせた。普段なら怒鳴り散らそうものだが、子供達の前では……そして、この日ばかりはそうはなるまい。
「それに、この子達は将来の国を背負って立つ希望ですのよ? 粗雑に扱うべきではありませんわ」
「成程、道理だ。……誇りある我が家名の在り方を卿から学ぶとはな」
そして、この子等へ注ぐ無償の情を、ベルフラウは彼女から学ぶのだ。
輝く夜は、その誇りにも光を当てるかのように。
*SS担当者:ふみのGM