イラスト詳細
本日の釣果、ワカサギとシャイネンナハトの欠片
本日の釣果、ワカサギとシャイネンナハトの欠片
イラストSS
「いい天気だ……ちょっと寒いけど、釣り日和だね」
ぐつぐつと煮える小鍋を傍らに、トストは氷に穴を開け、杖に巻きつけた釣り糸を垂らしていた。所謂ワカサギ釣りだ。トストはディープシーなので潜ることも出来はするが、こういうのは雰囲気と時間を楽しむものだと相場が決まっている。
釣り糸を垂らし、くいと引きが来れば引き上げる。繊細な感覚に頼り、引き上げたのが『当たり』ならその喜びはひとしおだ。
「沢山とれれば天ぷらにでもして……酒が進むね」
傍らに置いたワインの瓶をちらりと見つつ、彼は満足げに頬を緩める。既にそこそこの釣果を達成している手前、欲をかいて長居するつもりもない。けれど、煮上がった鍋を口にして温まれば、「もう少しだけ」と腰が重くなるのだろう。アウトドアとはそういうものだ。
だから、湖の底から強い引きを覚えた時、彼は根がかりと大漁の予感との両方を考えた。少し引き、上がってくるのを見るに根がかりではなさそうで……。
「プレゼント箱と……星? かな?」
釣り上げられたのは、拳大のプレゼントボックスが数個と靴下、星の形をした装飾品。シャイネンナハトの残滓のようなそれを見て、彼は少し考えてから籠に放り込む。思いがけぬプレゼントに、トストは少しだけ温かい気持ちになった。
*SS担当者:ふみのGM
挿絵情報
- 公認設定『イルーシュカ』