イラストSS

　天から祝福のように白く降る雪は町を染め、白い息はふたりの距離を縮める。肩を寄せ合って聖夜の彩りに満たされた街を見て回り、そうして楽しい時間が灯りに照らされる頃になったのなら――行きたい場所があるのです、とフルールはあなたを誘（いざな）った。
　真紅の精霊を伴いながら訪うのは、下調べ済みの場所。あなたを想って調べたのは、ライトアップがこの街一番美しいだとか、ここで心の籠もった贈り物をすると相手の幸せが約束されるのだとか、そう噂されている広場だ。
　今日のために購入した可愛らしい防寒用のコートをするりと脱げば、肩出しのワンピースミニスカサンタの姿が顕になる。今日の演出にと自分で用意したものだが、何度頭の中でリハーサルをしてもフルールの頬は朱を纏う。
　コートのポケットから小包を取り出すとコートをベンチに預け、広場の中心――美しいイルミネーションの元まで歩いていくと、くるり、あなたへ振り返る。
「どうぞ、貰って下さい」
　日々の感謝と想いを篭めて、手にした包をあなたへと差し出した。
　シャイネンナハト。輝かんばかりのこの夜に、あなたの幸せを願って――。


　＊SS担当者：壱花GM