イラストSS

　彼に告白したのも、寒い日だった。
　大きな身体と大きなお腹。ノリアの恋を受け止めてくれた包容力。彼の全てが好きである。それは胸を張って言える事。
　それでも、種族の違い。年齢差からもう一歩が踏み出せない。もどかしい思いを彼女は秘めていた。

　シャイネンナハトの日。ノリアは珍しく人の足で大地に、雪上に立って。雪だるまを作っていた。彼とおそろいの柄のどてらを着込んでいるから寒くない。彼に包まれているような気がするから。
　慣れない作業に戸惑いながらも、それでも完成させる。少々不格好な気はするが、大きな身体に大きなお腹。優しい瞳。立派な牙。彼の特徴は表したつもりだ。
「どうでしょう？　そちらは、できました、ですの？」
　少し離れたところで、彼は自分の雪だるまを作っている。そちらを振り向くと、そこにいたのは愛しい彼と、雪だるまとは呼べない雪像。
　彼の目から見て自分はそんなに綺麗に映っているのだろうかと考えると、冷えた頬が一気に熱くなるのを感じる。
　対して自分の作った彼の雪像はでこぼこで、申し訳なくなる。けれども、彼は全く気にせずに、いい出来だと笑って褒めてくれる。
（ああ……やっぱり、優しい、ですの……大好き、ですの）


　＊SS担当者：以下略NM