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いつか笑顔を
いつか笑顔を
イラストSS
●この手に世界を掴めたら
「……これは何でごぜーます?」
「スノードームって言うのか?
外の景色を閉じ込めた……まぁ、玩具なんだが。
結構出来が良いだろ。ざんげに見せてやろうと思ってさ」
首を傾げたざんげ(p3n000001)が硝子玉を覗き込んだ時、ルカ・ガンビーノ(p3p007268)はしてやったり、といった顔をした。
比較的長い時間を過ごしているから――余人には殆ど分からないざんげの『変化』がルカには分かるようになっていた。
感情の籠もらない凪のような瞳が何時もより幾ばくかの興味を示している。それはルカにとって『とても重要な事』だ。
「お前が見る景色は『ここから』だけだろうから、さ」
「……確かに初めて見たでごぜーます」
コクリと頷いたざんげにドームを渡してルカは少し視線を逸した。金色の瞳が自分に向けられている。視線は呆れる位真っ直ぐに自分だけに注がれていた。
「……ルカはどうしてここに来るでごぜーます?」
「……」
「今日は聖夜。昔レオンが教えてくれたですが、大事な日だと聞いたです」
答えればどう応じても語るに落ちそうだったが、咳払いをしたルカは「お前が笑わないのが気に食わないから」と言いかけて、それを辞めた。
「俺はお前の笑ってるところが見たいんだ」
「……笑う」
首を傾げたざんげは己の頬にふにふにと触れた。
ルカは何とも言えない気分になって、後ろを向いた。
(……そうだ。それだけだ。でも……)
割り切れないのは人間の常で、ルカも全く『同じ』である――