イラストSS

「フラーゴラ、今日は空いてるか？」
「……え？」
　フラーゴラ・トラモント(p3p008825)の耳は良い。というか、アトさん――アト・サイン(p3p001394)の声ならどんなに遠くでも聞き逃さない自信がある。
　フラーゴラの頭はめまぐるしく回転する。
「さすがに空いてないか。シャイネン・ナハトだもんな。それじゃあ別の――」
「空いてる！」
　むしろ、どんな手を使っても空ける。
（というか、アトさん、今日が何の日なのかもわかってたんだ）
　アトは断られないことは分かっていたようで、にやりと笑う。
「それじゃ、どこかに行こう。待ち合わせは……２時間後とか？　ちょうど昼だ」
　約束を取り付けるとあっさり去っていったアトを呆然と見送りながら、フラーゴラは言葉の意味を反芻していた。
（これって……もしかして、デート？）

　せいっぱいめかしこんで、ダッシュ。待ち合わせの場所にやってきた。
　アトは時間通り――いや、少し早いのかな。
「来てすぐ」と言っていたけど。
　クリスマスマーケット。
　アトは慣れているようで、ジンジャーブレッドやシュトーレンに次々手を伸ばす。
（ど、どうしよう、どれにすればいいかな……）
「一番のオススメはカリーヴルストだ」
「！」
　食べたい、そう思った時にはアトはすでに二人分を買っていた。
「どうぞ」
「あの、お金」
「僕が誘ったから、いいよ」


　＊SS担当者：布川GM