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クーア・ミューゼルの笹雪による2人ピンナップクリスマス2020(横)
クーア・ミューゼルの笹雪による2人ピンナップクリスマス2020(横)
イラストSS
「い、いらっしゃいませ……なのです!」
ガチガチに固い声でクーアがやや上ずったように入ってきたお客に挨拶する。
普段であればゆらりと揺らめく尻尾も、感情や風に合わせてピコピコと揺れる尻尾も、ピンっと真っすぐ天を向いている。
濃淡違いのオッドアイが若干開いているのも、ぎゅう、と縮こまるようになっているのも、気のせいではない。
「はーい、お二人様ですね。お名前をお伺いします」
完全に固まってしまっているクーアの後ろから、彼女の両肩を抱くようにして顔を出した利香は満面の笑みを浮かべている。
「こちらでお間違いないでしょうか? はい、それでは……こちらがルームキーになります」
笑みを張り付けたまま、カップルらしき2人を見送りながら、安堵の息を漏らした研修生――恋人であり眷属でもある彼女の肩を柔らかくもんだ。
「ほら、クーア、大丈夫?」
緊張をほぐすような揉み方にクーアが頷いた。
「それじゃあ、次がくるみたいだし、次行ってみましょ」
「は、はいぃぃ!」
入り口に見えた人間種らしき男性を見ながら、利香はポン、とクーアの肩を叩いてそっと後ろに隠れるのだった。
*SS担当者:春野紅葉GM