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しにゃこのはちごうによるおまけイラスト
イラストSS
「シャイネンナハトじゃ! 御馳走なのじゃ!」
「このケーキも美味しいのです!」
窓の外では雪が降る中、暖かい部屋で行儀悪く両手に持ったチキンをむしゃむしゃと頬張るアカツキ・アマギ(p3p008034)に、脇目も振らずケーキに舌鼓を打つしにゃこ(p3p008456)。揃いの衣装に身を包み、三人で楽しくシャイネンナハトの一夜を過ごす予定、そのはずであったのだが。
「……ねぇ、しにゃこさん? そのケーキってもしかして」
見てはいけないものを目にして、笹木 花丸(p3p008689)が硬直する。彼女の目に映ったのは『花丸』と書かれたチョコのプレートが乗ったケーキ、そしてそれをしにゃこが一心不乱に口へと運んでいる様子。
花丸が気付きさえしなければ、あるいは平和な夜を過ごすことができたかもしれない。だがそれももはや叶わぬ未来。
――それ、もしかしなくても私のケーキだよね?
何故、どうしてなどという疑問は浮かべるだけ無意味。今はただ、己がケーキを奪い去った憎き怨敵を誅殺するのみ。
「フッ、フフフ……覚悟は、当然できているんだよね?」
「ひぇっ? あの? 花丸さん?」
どこからか取り出した包丁を手に花丸が動き出す。彼女の背後から黒いオーラが立ち上っているようにも見えるのはきっと気のせいではないのだろう。
あまりの気迫にしにゃこは尻もちをついて後退るが、その後をゆっくりと花丸が追う。
一歩、また一歩と花丸が足を進める毎にしにゃこは部屋の隅へと追い詰められていく。そして訪れるその瞬間。背中が壁に触れる。これ以上逃げ場は、ない。
「ケーキの恨み、晴らすべし!」
「ひぇええええっ、誰か助けてっ!」
「ま、まて。殺してはいかん!」
涙を浮かべて震えながら必死に助けを乞うしにゃこ、そして包丁を振りかざした花丸の間に割って入ったアマギが説得を試みるも……
「そんなことを言ってもね、食べられたケーキは返ってこないんだよ?」
ゆらり、と光を無くした目を見開いた花丸が包丁を構え直す。
「だから、ね……」
――ジャマヲスルナラヨウシャシナイ……
正気を失った彼女に話は通じない。ましてや説得など無意味どころか逆効果。標的が一人から二人に変わった瞬間である。
「「ぎゃぁああああ!!!」」
聖なる夜に似つかわしくない悲鳴も、しんしんと降る雪に吸い込まれていくだけ。結末がどうなったかを知るのは当事者たちのみ。
*SS担当者:外持雨NM