イラストSS

「ケーキはいかがですかー！」
「試食もあるので良かったらどうぞー」
　喫茶店の前で『シャイネンナハトに美味しいケーキはいかがですか？』と書かれた看板を持ったオデットと試食用のケーキを持ったルチアが声を上げる。
　時刻は夜、ちらちらと雪が舞い始めミニスカサンタには寒さがつらそうではあるが、寒さも声に出して吹き飛ばせと言わんばかりに呼び込みの手を止めない。
　オデットが大きく看板を持ち上げて振れば、ルチアがケーキが見えるようにお皿を傾ける。
　そんな呼び声とアピールに通行人が一人足を止めしげしげと看板を眺め、ルチアが差し出したケーキを一口食べると満足そうな顔をして喫茶店へと入っていく。
　呼び込みの成功に顔を見合わせてハイタッチする二人。なんだかんだとケーキは好評で売り上げもよさそうである。
「なかなかいい感じね」
「ほんとね、これだったら後でご褒美もらえそうな気がするわ」
　それはどうなんだろうとおそらく大忙しな店内を思い描いてルチアは首をかしげたが、一杯ぐらいはおごってもらえるだろうと思いなおす。
「ま、もうひと頑張りね」
「ふふん、全ての人間に売りつけてやるわ！」
　二人のお仕事はもう少しだけ続く。


　＊SS担当者：心音マリNM