イラストSS

　パチ、パチ、と静かな室内に薪の音が鳴る。
　温かな光がぼんやりと室内を照らし、ときおり奏でる薪の爆ぜる音さえも穏やかに。

　けれどきっと、よくよく耳をすませればほら、きッと聞こえてくるだろう。

　美しき白い毛並みの身体をくるりと丸め、青いサンタ帽とシャツにくるまり眠る小さなニャムリの――ふわりと口を開けたその口元から聞こえる音が。

　安易な言葉では形容しがたき遥かなる宙のようで、降り立ったその姿はまるで触れてしまえば折れてしまいそうな華奢な少女のような――そんな『ヒト』になったモノが

　ただ、穏やかに何物にもとらわれることなく微睡むその微かな音が。

　微かな風に揺らいでキャンドルの火が震え、あまたの電飾と飾りに満ちたクリスマスツリーには、赤い靴下一つ。

　誰からかもわからないプレゼントがそっと顔を出している。

　明かりに照らされて影が揺れていた。

　全ての喧騒から解き放たれたかのような温かでのんびりとしたシャイネンナハトのその夜は、きっと、まだまだこれからだ。

　それにほら、こんなにも穏やかに眠る二人を起こすような愚かなことを、いったい誰ができるだろう――


　＊SS担当者：春野紅葉GM