イラストSS

　シャイネンナハト。それは混沌世界における一年の最後、最大とも言えるお祭りの夜。
　輝かんばかりのこの夜に相応しい様な催し物がこの一夜だけで盛り沢山だ。
　世界中の都市で、多くのイベントが開かれている中……彼らもまた、このシャイネンナハトを満喫しているのであった。

「ああ、先の演奏会は最高だったな！　この夜に感謝しなければならないな」
「ええ。素晴らしい物でした。それに今も――」

　ヴェルグリーズが僅かに周囲を見る様に視線を遣り、ヤツェクもそれを習う様に周りを見渡す。
　マーケットの只中、色とりどりの煌びやかな飾りがされた店や品々に目を輝かせる子供達、楽しそうに二人と同じ様にこの夜を楽しんでいる多くの笑顔の人々。
　幸せそうな人々に賑やかな喧噪。混沌世界においてそれは様々な問題により、無償で齎される代物ではない。
　その幸せの多くはこの世界に暮らす多くの人々と――そして、彼らの様なイレギュラーズの活躍により齎された物。
　その喧噪はイレギュラーズ達の、二人の戦いに、確かな価値があったのだと信じさせてくれる、先の演奏会にも劣らぬ物の様に思えた。

「……ふっ。良い物だな」
「本当に」

　笑みと共に短く交す二人。
　深い言葉は要らない。ただ今は

「「輝かんばかりのこの夜に」」

　――乾杯。


　＊SS担当者：黒矢NM