イラストSS

　シャイネンナハト。恋人達が街を歩き家族が七面鳥を囲む夜。雪降る森を必至に走る男達がいた。
　どうやらサンタクロースに扮して泥棒を働いたバチ上がりな連中なようだが……。
「おいなんだあいつら！」
「サンタクロースだろ！？　そういう格好してるし！」
「偽物の証明が俺たちなんだけど？」
　焦った顔で振り返る。
　そんな彼らが目にした風景を、ここではあえて泥棒たち視点からご説明しよう。

　肩を出したかわいらしいミニスカサンタコスチューム。しかし広げた翼とスペード型の尾は悪魔そのもののシルエットである。
　ギラリと赤く光る目は、覗かせた小さな牙は、こちらを餌として見るようなまなざしは、誇張なく悪魔のそれであった。
　そんな彼女の肩から顔を出す小さな少女。彼女はこちらを指さすと、なにかを叫んだ。

「やって！　狼さん！」
　『檻の獣・牙重奏』の術式を起動させたリトル・リリー（p3p000955）は、巨大な狼型召喚獣を呼び出した。
　数十メートルの距離を埋め、泥棒の一人へとかじりつく。
　更にマルベート・トゥールーズ（p3p000736）が翼を羽ばたかせて加速。
　木の棒を手に掴むと、泥棒めがけて投擲。
　泥棒の頭部に激突し、ばったりとうつ伏せに倒れた。
　そんな彼らの袋をとりあげるマルベート。
「サンタさんが盗みなんてダメだよ？　これは、お店の人に返してあげようね」
　二人は微笑みあい、気を失ってぐったりする泥棒たちをおいたまま街へ帰っていった。

※担当ＧＭ『黒筆墨汁』