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ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤの結城ポンタによるおまけイラスト
ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤの結城ポンタによるおまけイラスト
イラストSS
シャイネン・ナハトの聖なる夜。
どこまでも清らかな世界に、どこからか小さな音が聞こえてくる。
近づくにつれて大きくなるその音は。
シャンシャンと軽やかな鈴の音だ。
「サンタさんだ!」
ハンスは飛び起きた。普段だったらぐっすり寝ている時間だけれど、今日はわくわくしすぎて眠れずにいたのだ。
窓に駆け寄り、大急ぎでカーテンを開ける。
そこには――!
「お酒っ! お酒欲しいですわー!!」
トナカイ、いや、トナカイの着ぐるみ姿のヴァレーリヤは、頭上に揺れる壜に向けて、猛然と走り続けていた。
走るたびに琥珀色の酒が壜の中で揺れる。時折、漏れ出る光を受けて輝く酒は、ヴァレーリヤの心をがっちりと捉えて離さない。
「私へのクリスマスプレゼントー!」
「滅多に手に入らない極上モノ。労働の後に飲んだら格別よ、きっと」
ぐいぐい前に出るヴァレーリヤに曳かれて猛スピードで進むソリの上で、サンタの衣装をまとったゼファーは上機嫌で笑った。
「おにぃちゃん、どうしたの?」
妹がもぞもぞと身を起こす気配に、ハンスはひと息にカーテンを閉めた。
「なんでもない。寝てろよ」
妹の夢を守る兄の役目を果たし、少し大人になったハンスはベッドに戻ったのだった。
*SS担当者:月舘ゆき乃GM