PandoraPartyProject

イラスト詳細

いつまで経っても飲ませてくれない……

作者 結城ポンタ
人物 ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ
ゼファー
イラスト種別 おまけイラスト(→元発注イラスト
納品日 2020年12月24日

3  

イラストSS

 シャイネン・ナハトの聖なる夜。
 どこまでも清らかな世界に、どこからか小さな音が聞こえてくる。
 近づくにつれて大きくなるその音は。
 シャンシャンと軽やかな鈴の音だ。

「サンタさんだ!」
 ハンスは飛び起きた。普段だったらぐっすり寝ている時間だけれど、今日はわくわくしすぎて眠れずにいたのだ。
 窓に駆け寄り、大急ぎでカーテンを開ける。
 そこには――!


「お酒っ! お酒欲しいですわー!!」
 トナカイ、いや、トナカイの着ぐるみ姿のヴァレーリヤは、頭上に揺れる壜に向けて、猛然と走り続けていた。
 走るたびに琥珀色の酒が壜の中で揺れる。時折、漏れ出る光を受けて輝く酒は、ヴァレーリヤの心をがっちりと捉えて離さない。
「私へのクリスマスプレゼントー!」
「滅多に手に入らない極上モノ。労働の後に飲んだら格別よ、きっと」
 ぐいぐい前に出るヴァレーリヤに曳かれて猛スピードで進むソリの上で、サンタの衣装をまとったゼファーは上機嫌で笑った。


「おにぃちゃん、どうしたの?」
 妹がもぞもぞと身を起こす気配に、ハンスはひと息にカーテンを閉めた。
「なんでもない。寝てろよ」
 妹の夢を守る兄の役目を果たし、少し大人になったハンスはベッドに戻ったのだった。


 *SS担当者:月舘ゆき乃GM

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