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投げ打つは賽
投げ打つは賽
イラストSS
焔を纏った刀身と、妖しく光る小太刀。
吹雪く夜闇のその中で、二人の刃が交差した。
なにゆえに、そのような様相に至ったのか……などと、所以を語るにはあまりに野暮である。
――陰陽 秘巫。
――緋道 佐那。
二人の刃が交わるその様を、今はとっくりと語るべきであろう。
「嫌やわぁ、そんなに暖かそうやのに、近づかせてくれへんなんて……」
手にした小太刀をくるりと回し、逆手に握った秘巫。
表情は優しく、吹雪く風の中で小首をかしげる余裕すらあった。
対する佐奈もまた、穏やかな微笑みのまま刀を上段に構え、目を細めている。
表情だけを見れば、談笑する友にすら見えたかも知れないが、彼女たちの顔や衣服にはべったりと血がこびりついていた。今まさに流れた、互いの血である。
「――!」
炎の軌跡をひき斬りかかる佐那。
軌道を呼んで小太刀を打ち付け防御し、そのまま刀身をすべらせるように相手の手元へおしつけ、胸から腰にかけてを斬り付ける。
吹き上がる血を浴びる秘巫。しかし受け流された筈の佐那はその場で素早くスピンし、秘巫の脇腹を切りつける。
交差する二人。背を向けたその後に、またも穏やかな笑みで振り返る。
幼い獣のじゃれ合いか、それとも渇いた修羅の慰めか、それとも深き愛の営みなのか。
余人には理解の出来ぬ、刃の語らい。
輝かんばかりのこの夜に――。
担当GM:黒筆墨汁