PandoraPartyProject

イラスト詳細

シラスの彁によるおまけイラスト

作者
人物 シラス
沁入 礼拝
イラスト種別 おまけイラスト(→元発注イラスト
納品日 2020年12月24日

1  

イラストSS

今日も陽が落ちていく。
視界の端に見た窓の外は知らずの内に薄闇が近付いてきていた。
パチパチと木の燃える音と共に。何故冬はこうも陽の傾きが早いのだろうと時折思う。
もう少し時間があったら、などという考えは一瞬だけ浮かんで直ぐに消える。
あくまでこの時間は仮初の物にしか過ぎないという事を忘れてはいけない。

彼女――礼拝は、慣れた手付きで編み物をしていた。
随分と丁寧に、綺麗に編み上げられていく其れを、俺はただ見ている。
彼女の為に淹れた飲み物をサイドテーブルに置いて、一声だけ声を掛けた。

「此処に置いておくな」
「…あら、有難う。少し休憩しようかしら」

そう言って手を止めた彼女はふわりと笑って膝に作りかけの編み物を置く。
これが時期に何になるのか、とはいえもう大分形は出来ているのだが。
暖かなカップを両手で持って、礼拝は彼――シラスの持ってきてくれた飲み物を口にする。
この冷える時期、内側から温めてくれる感覚は、礼拝に伝わっているだろうか。
シラスはこの時間を大切に思っていて、それでいて現実を思い返すのは嫌で。
ただ、それでも此処に居る事が許されたなら…それはきっと――

ゴーン、ゴーン

ああ、今日の"予定"の鐘が鳴る。


 *SS担当者:月見里あとりNM

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