イラスト詳細
盗賊共に贈るプレゼント(物理)
イラストSS
――『あれは死を運ぶサンタクロースだった』
後に補導された盗賊の男は、震える歯でそのように語った。
シャイネンナハトの夜。奇跡の魔法に浮かれる街に盗賊達が暗躍していた。
子供達へのプレゼントを買いに出た大人達を狙った強盗や窃盗が、この街では相次いでいたのである。
「チョロい仕事だぜ。連中、ここぞとばかりに貯金を下ろしてブラついてやがる」
「大金を持ち慣れてねえからな。いいカモだ」
裏路地で金貨の袋を開いて数える盗賊達。
彼らの一人が厠に立とうと集団を離れた――その隙。建物と建物の間から浮き出るように現れた何者かが男の口をふさぎ、暗闇へと引きずり込んだ。
「おい、あいつまだ戻ってこねえな」
「いつまでやってんだ。はやく分け前配って帰りてえよ」
盗賊達がそんな風に話している――と、彼らのもとに何かが転がってきた。
薄暗い裏路地のこと。目を細めて顔を近づけ……それが仲間の腕であることに気づいて飛び上がった。
「この聖夜。不埒な賊共にプレゼントをあげましょう」
聞こえた声ははるか頭上。
慌てて見上げた彼らへ、屋根から飛び降りた蓮杖 綾姫(p3p008658)は流れるような斬撃で男たちの腕をそれぞれ切り落としていった。
あがる悲鳴。吹き上がる鮮血。
盗賊たちは恐れを成して逃げ出していく。
「これにこりたら、もうこんな悪事は働かないことです」
取り落とした(と言うより腕ごとおちた)金貨袋を拾い上げ、綾姫はピッと剣についた血を払った。
「さて……次は私がサンタクロースになるばん、ですね」
翌朝。盗賊の被害にあった人々の家には金貨の小袋がこっそりと届けられていたという。
※担当GM『黒筆墨汁』