イラストSS

「っかぁー！　矢張り百鬼夜行は最高じゃのう」
　左手の瓶から直で清酒を喉へと流し込み、右手のフォークでホールのケーキを掬い取る。
　頬に、その暴力的な胸元にと白いクリームが落ちるのも構わず霧緒の手が止まることはない。
　折角の祭だと商店で買った「さんたくろうす」なる衣装は、彼女のその豊艶な身体を収めるには余りにも心許なく――色々と零れるギリギリで食い止まっていた。
　テーブルの上には何本もの空き瓶、空いた皿、そしてまだまだ控える御馳走の数々。面倒だからと数杯目で役目を終えた御猪口は転がされ、その傍らにはストローの刺さった飲みかけのジュース。けれど、霧緒はこの宴で酒以外を一滴も飲んでいない。
「良き酒、良き食事、そして良き友！　のぉ、リリー！」
「そ、そうだね、ぐえ！？」
　そのグラスを抱えジュースを飲んでいたはずのリリーは――哀れ、霧緒の胸の下敷きとなっていた。
（き、霧緒さんとごはんも楽しそうって着いて来たらこんなことに！？）
　圧死しないこの混沌肯定に感謝したい、けれど色々とピンチなわけで！
「まだまだ夜は長いぞ、もう一本、いや十本じゃ！」
「き、霧緒さんー！？」
　聖なる夜、リリーのパンドラやいかに――！？　


　＊SS担当者：飯酒盃おさけNM