イラストSS

　漢と漢との戦いは時に時間と場所を選ばないものかもしれない。それが戦いが起こらないとされているシャイネンナハトであろうとも。
　漢の一人はカイト・シャルラハ。鷲の獣人で、炎の槍使いだ。もう一人はウォリア。竜鎧をきた破壊神だ。二人の漢は強者を求めて、ここに至ったのだ。
　ウォリアが大剣を一閃する。カイトは持ち前の俊敏さで首の皮一枚の差で避ける。
　だが、ウォリアの攻撃はこれだけではない。方向を素早く一転させると連撃を繰り出す。これにはカイトも避けきれない。翼から血が噴き出す。夕暮れの赤は血すら光の中に溶かし込んでいく。
　カイトは敢えて血飛沫を吹き散らしてウォリアの目を潰そうとする。更に羽根を飛ばしウォリアの鎧に傷をつけていく。
　ウォリアの鎧は傷こそついているが、まだ壊れそうにもない。人を遥かに超えたる竜でできた鎧は生半可なことでは傷つかない。それに傷をつけることができているカイトの能力の一端が知れよう。
　ウォリアは心底愉快そうに嗤う。ウォリアがその凄さが分からぬわけはない。戦いが楽しくて仕方ない。二人とも強者に出会えたことに愉悦を覚える。
　カイトは飛び退ると槍に焔を纏わせ、ウォリアに狙いを澄ます。ウォリアは愉快そうに大剣を構える。——戦いは夜が更けるまで行われたという。


　＊SS担当者：綴NM